奈良の自宅から近いところに松伯美術館がある。
これは故近鉄名誉会長佐伯氏自邸内に設けられた上村松園・松篁・淳之3氏作品所蔵の美術館である。
大阪へもほど近い学園前という住宅地の中に他とは全く違う一角がある。
大淵池のほとりにある1万平米ほどの敷地はまるでリゾート地のような別世界である。
この日は植村淳之展を行っていた。
実はここに来た目的はこの敷地内にある村野藤吾氏設計の佐伯邸なのだ。
この凜とした佇まい。数寄屋造りの純和風と思いきや、中心に石造りの煙突が飛び出している。
フランクロイド・ライトとは言わないまでも西洋的な要素をうまく取り込んでいるではないか。
村野藤吾といえば、志摩観光ホテルや新歌舞伎座、橿原神宮駅舎など新和風といった風情のものが多いように思うが、旧読売会館や横浜市庁舎、麹町ダイビルなど、逆に和風の要素を持った現代建築が主流のようだ。ある意味丹下健三とも近いイメージかもしれないし、実際よく比較されたようだ。
松林に溶け込んだ茶室は見事である。
ここはいったいどこなのか?と思わせる敷地内の風景。
こんな近くに異次元の世界。
また時々は訪れたいものである。
(おまけ)藤棚の駐車場。